「たしなみ」とか「おもてなし」とか

日本語の奥行きと、奥ゆかしさを見習って…

小さい頃、出かける時は「よそゆき」と言われるものを着せられていた記憶があります。特にそんな高価なも洋服ではありませんでしたが、普段着と明らかにそれは分けられていたように思います。それにその頃は、家に着物を入れる箪笥があり、普段着も着物を着ている人がいたのを覚えています。そして、「たしなみなんだから」と口癖のように言う祖母もいました。このたしなみと言う言葉、「お酒はたしなむ程度です」というと、親しむくらいに好きという意味で、嗜好品の「嗜」のイメージで今は使われる場面が多いのかなという感じですけど、でもあらためて調べてみると、すごく幅の広い言葉なんですよね。

1.好み。また、趣味や余技。

2.芸事、武道などに関する心得。「茶道の~もある」

3.つつしみ。節度。「~がない」

4.普段の心がけ。用意。「紳士の~」

まだ着物を普段着にしている人がいる頃は、この「たしなみ」という言葉がよく使われていたように思うのですが、皆さんはどう思われますか。でも、はっきり言って、英語には訳せません。

「taste」とか「gentle」とか、近そうで遠い言葉はありますが、少なくともこの4つの意味を包括する英語はありません。使われる場面でちょっとニュアンスが違う意味を持っている言葉ですが、大きな言葉の素は同じという、どうもこうも説明しづらい言葉です。でも、この言葉の意味を知っている日本人の心の中ではひとつなんですよね。

それから、オリンピックのプレゼンテーションで有名になった言葉「おもてなし」。この言葉は、「うらおもてのない気持ちで」とか、「何かをもって成し遂げる」というところからきているそうです。もてなしという言葉に「お」という丁寧語をつけたこの言葉も、ニュアンスまで正確に表す英語はありません。「service」や「treat」ではないですものね。

かの千利休は、茶道の「もてなしの教え」を利休七則にまとめています。

一、茶は服のよきように点て (相手が飲みやすいように、適度な温度と量にする)

ニ、炭は湯の沸くように置き (段取りでは、要となるツボをおさえる)

三、花は野にあるように (自然にあるようにする)

四、夏は涼しく冬暖かに (心地よさをつくる)

五、刻限は早めに (ゆとりを持ってことにあたる)

六、降らずとも傘の用意 (万人の憂いを想定して備える)

七、相客に心せよ (初めての人にも、親しい人にも、同じように気を配る)

「たしなみ」も「おもてなし」も相手の気持ちを良くさせるための心遣いと心がまえの大切さを伝える言葉だと思います。

“皆さんがうれしいと私たちもうれしい。それを喜べる私もまたうれしい”という、うれしいのかけ算。そんな奥ゆかしい言葉を見習って、これからも想いを伝えることができればと願っています。

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