2015年に就農し、自然栽培や無農薬・無化学肥料栽培での野菜作りをスタートしました。20代、30代は東京で広告・デザイン、雑誌編集に携わっておりましたがその中で、これからの農業の重要性、可能性そして仕事のやりがいを感じたことから就農することを決意。地元に戻り熊本農大に1年通学後、就農しました。
最初は少量多品目で様々な野菜を栽培していましたが効率を考え今はビーツ、菊芋、ニンニクの3つの作物をメインに栽培しています。
「かもめ農園」という屋号は、映画「かもめ食堂」のおおらかで優しい雰囲気が好きだったこと、そして家族でそんなお店を作れたらいいなという想いからつけました。将来は自宅の敷地の一角で自分たちで作った野菜を加工品して販売したり、さらに子どもたちとキッチンカーで移動式の食堂ができたらなぁ、なんていう夢をひそかに抱いています。
菊芋を育てている畑は、もともと牛用の飼料を栽培していたところなので、とても肥えた土壌が出来上がっています。土地の強さって農作物づくりにはとても大事なので、恵まれた土地でものづくりができるのはありがたいことです。土が出来上がっているので肥料は有機堆肥と石灰のみ、農薬は使用していません。
菊芋の種はすべて自家採取したもの。ですから出荷する菊芋を収穫した後、種にする分は土の中に残して春の植え付けの時期に掘り起こして植えていきます。菊芋は高い栄養価が注目されてきてTVなどでも取り上げられていますが、なかには土臭いとおっしゃる方もいるので、ウチでは収穫したらすぐに洗って土臭さを取り除いているので、初めての方でも食べやすいと思いますよ。
ビーツを栽培する土づくりには、土壌を分析し何がどのくらい足りないかを数字的に明確化して有機物をプラスしていく「blof論理」を活用しています。科学的・論理的な有機栽培技術であるblof論理は、これまでの農家さんが長年の経験による「勘」で行っていた土づくりを、科学的に分析することで経験が少ない新規就農者でも、よりよい土の状態を作れるように手助けしてくれるものなんです。またなるべく自然な環境で育てたいので、化学的に合成された農薬や肥料は使わないようにしています。
ビーツは１つの種からいくつも芽が出るので、ほったらかしにしておくと小さなビーツになっちゃうんです。そのためしっかり間引きをして、大きく甘いビーツが作れるよう心がけています。
菊芋はきんぴらにしたり、お肉と炒めたりカレーに入れたり。小さいものは丸ごと、大きいものはカットして素揚げにして塩で食べるのも美味しいです（ビールのおつまみにもピッタリです！笑）。あまり火を通し過ぎるとふにゃふにゃに柔らかくなるので注意ですが、油との相性がすごくいい野菜だと思います。
ビーツのレシピって検索すると難しそうな料理が多く出るのですが、人参と同じような火の通り具合なので、単純にお肉などと炒めるだけでもOKです。
我が家のお気に入りはオーブン焼き！短冊切りにしたビーツにレンコンや人参、鳥肉などをオーブンのプレートに適当に並べてれてオリーブオイルと塩コショウをパラパラと振って200度のオーブンで30分放っておくだけの簡単料理です。野菜とお肉の旨味が出て最高に美味いです。ビーツの甘味が絶妙でワインにもピッタリです！
また、菊芋もビーツも生のままスライスして甘酢に漬けるとピクルスみたいになっておすすめです。ラッキョウ酢を使うと手軽にできるし、これはもう瓶詰めにして販売したいぐらいです。ビーツの甘酢漬けは色もきれいなのでインスタ映えもしますよ！笑
菊芋やビーツは、まだ一般的にあまり馴染みがないかもしれませんが、健康志向が高い方や海外ではとても人気で一般的な野菜です。美容と健康が大切なモデルさんなどにも人気があって、実は有名なモデルさんがYouTubeでうちのビーツを紹介してくれた事もありました。
日本では食べ慣れない野菜かもしれませんが、身体にいいものを知って、食べてほしいとの願いを込めて栽培しています。
私が近年感じるのは日本人の「食」に対する価値の低さ。服やスマホ、趣味にはお金をかけるけれど、食べ物は安ければ安いほどイイという感覚が一般的になっているように思います。いろんな要因があると思うのですが、やはり「食」が自分たちの体を作り健康で楽しい毎日を過ごすために必要不可欠なものですよね。だからこそ、安心安全な野菜を食べて元気になって、食の大切さを実感してくださる方が増えると嬉しいなと思っています。
お気に入り追加
